New Moon Daughter
3rd ALBUM
デビューから常に多種多様なスタイルやサウンドを貪欲に吸収し、驚くべき進化を続ける “ARIA ROCK” 装飾や虚勢はいらない、シンプルに今の “ARIA ROCK” を全て詰め込んだ待望のニューアルバム完成!!
※ CM 使用曲「怪盗紳士」はこのアルバムに収録されています。
≪収録曲≫
- 01. 想幻郷
- 02. New Moon Daughter
- 03. 怪盗紳士
- 04. 道化師と野良犬
- 05. ベルとメイルのワルツ
- 06. 秘密の迷路
- 07. ∞~The day~
- 08. Green Air ~Be jolted to a tour bus~
- 09. CASINO DRIVE
- 10. Canon Rock
- 11. 月の上の観覧車
- 12. 夜曲 ~Eine kleine Nachtmusik~
※「Green Air ~Be jolted to a tour bus~」はRBC琉球放送「沖縄BON!!」10月度エンディングテーマ曲
≪ライナーノーツ≫
“ロック・ヴァイオリニスト”と聞いて、すぐにその音楽性を想像できる人はあまりいないだろう。そもそもクラシックの楽器と思われているヴァイオリンと、ラウドなロック・サウンドとは簡単に結びつかない。なのに、ARIAはあえて“ロック・ヴァイオリニスト”を自称するのはなぜなのか。「私のなかでの“ロック”とは、何かを貫き通している人のこと」と彼女は答える。デビュー作『ARIA』では金髪で派手なコスチュームに身を包み、ルックスも音楽性もアグレッシヴなものだった。続く『Club ARIA』もクラブ・ミュージックというキーワードはあるが、デビュー作を踏襲。確かにこれらは“ロック”という言葉が似合う。では、新作『New Moon Daughter』はどうだろうか。美しい黒髪にイメージチェンジしたことも意外だが、雨の音から静かに始まる壮大なオープニング・ナンバー「想幻郷」には驚かされる。続くアルバム・タイトル曲「New moon daughter」も、アコースティック・ギターのイントロから穏やかにメロディが展開。表層的な“ロック”とは一味違うが、この堂々たるたたずまいはこれまでの作品にはなかった風格であり、この強固な意志のようなものこそ、彼女のいう“ロック”なのだ。そして、どの楽曲もヴァイオリンが非常に冗舌である。「私の曲にはそれぞれ明確にカラーがあって、演奏している間はその色がずっと頭に浮かんでいる」というが、このカラーというのは、そのまま作品のドラマ性とも言い換えられるだろう。劇画的な印象を受ける「怪盗紳士」、どこか可笑しく物悲しい「道化師と野良犬」、優雅なダンスが目に浮かぶ「ベルとメイルのワルツ」と、音を聴くだけでストーリーが頭に浮かんでくる。ヴァイオリンのインストというと単調になりがちだが、ARIAの音楽はそんなことを考えさせる隙が一切無い。今作は、サウンド面のパートナーでもあるギタリスト、国吉亮の功績も無視できない。沖縄のコザ出身でウチナー・ロックの歴史を継承しているミュージシャンということもあり、ARIAの音楽に精神性も含め与えた影響は大きい。彼女は国吉のスピリットと共鳴し、多くの楽曲を共作することで、アルバムに一本の太い幹を作り出したのだ。アルバムの後半に進むと、その国吉を中心としたバンド・サウンドが際立ってくる。レイジーなギターで始まる「Green Air ~Be jolted to a tour bus~」から「CASINO DRIVE」、「Canon Rock」、そして元バービー・ボーイズのいまみちともたかが参加した後半のハイライト曲「月の上の観覧車」へと一気になだれ込む。このあたりは、いわゆる“ロック”を求めるファンにも納得できると同時に、“ロック・ヴァイオリニスト”としての揺るぎなき主張が全面に押し出されている。 「今回はいろんな奇跡が重なって出来たアルバムなんです」と語るARIA。“新しい月”に象徴されるように、ARIAの新たな旅立ちを一緒に体感できるアルバムなのだ。 (音楽&旅ライター:栗本斉)